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「試合でのコーチの注意点」

 試合中はコーチの指揮のもとにチーム一丸となって戦う訳ですが、あなたがもし試合のコーチをする立場になったとしたら、いくつかのことに留意することで試合をより優位に進めることが出来るでしょう。
 しかしもし今から述べることを破れば、チームに弱さと混乱を招いて自分たちを不利な状況にしかねません。バスケットの指揮には最低限の原則があります。

①試合前にあらゆるケースの予想をする
 指揮は予想もなしにいきなりとれるものではありません。自分たちのスタイル、個々の選手の能力や癖、組み合わせ、スタミナ、相手チームの実力やスタイル、あらゆることを頭に入れた上で、試合中の展開を予期しておくべきです。
 立ち上がりでいきなり10点差をつけられたら? エースが怪我をするかもしれない。激しいプレスが来たら? 終盤に猛追を食らったら?ゲーム中の諸要素をあらかじめ頭に入れて検討しておくことで、目まぐるしく変化する状況にスムーズに対応できるようになります。
 これが出来なければ指揮官は迷いやすくなり、間違った判断を下したり、試合を手遅れな状況に追い込む確率も上がってしまいます。名コーチと呼ばれる人は、過去の経験からこの判断を誤るようなことが少ないから名コーチなのです。
 必ず事前に全てのケースの検討をするようにしてください。

②先手必勝を心がける
 バスケットに限らず、全てのゲームは先手必勝です。例えばサッカーにしても、片方のチームが先制点をとった途端に、両チームともゲームプランがまったく変わってしまいます。同じように、バスケットにしても先にリードを奪ったり、主導権を握ることは、試合の勝敗に非常に大きな影響を与えます。
 単純に点差によって選手起用の基準が変わったり、仕掛ける戦術も変わったりします。相手に先手を打たれると、こちらは普段着のバスケが出来なくなって不利なのです。ですから、コーチは手札の出し惜しみをしてはなりません。
 まずはゲームの立ち上がりから主導権を握りに行くこと、点差を離しに行くこと。24分(6分×4)というのは、あっという間に終わってしまうものです。

③後手に回らない(あたふたしない)
 相手に強烈に攻め立てられたり、ミスが続いてしまうと、何か手を打ちたくなるのが人情です。しかしながら、大幅に選手交代や戦術変更をすることは、事前の準備がなければただの応急処置です。
 一度崩されたものを試合中に立て直すには、名コーチでも相当難しいことです。だからこそ試合前に練習で、どんな事態にも対応できるように練習をくり返すのですが、あなたがコーチなら、相手に何かをやられてからおたおたと慌てるのは止めましょう。
 そうではなく、状況をあらかじめ予想して対応できるようにしておくことがチームを救います。スタミナが切れてから3人交代するようではチームの危機は避けられないので、あらかじめ交代策などを練っておくべきだということです。追い詰められてからの指揮判断はかなり難しく、その1つの判断でチームの試合が決まりかねない危険なものであることを肝に銘じましょう。

④迷わない(迷った姿を見せない)
 これは単純ですが、コーチが迷うと皆が不安になります。ましてや同じベンチにいるアシスタント・コーチがバスケ経験が多少ともあれば、自分なりのバスケ論や起用論を持っている人もいるものです。そんな人がコーチの迷いを見れば「自分ならこうするのに」という思考をしてしまうことは十分考えられることです。
 不安や迷い、不満を抱えたままでは選手は十分なパフォーマンスを発揮できません。コーチは常に自分の考えや判断に自信を持つべきです。反省や失敗があるのはわかりますが、選手たちの前でそれを見せないのもコーチの仕事なのです。
 いざという時に迷いが出ないように、あらゆるケースやプレイについての知識が深めることも重要ですので、怠りないように。

⑤自分たちのスタイルを変えない
 スラムダンクで海南の高頭監督が、陵南の田岡監督の仙道PG起用の采配を批判していましたね。「奇策といわれるあらゆる作戦…そのほとんどは、相手のことを考えすぎて本来の自分を見失った姿にすぎない」と。
 スラムダンクでは田岡監督の作戦はうまくいきましたが、現実には奇策を使うことは控えなければなりません。バスケットはハビット(習慣)スポーツです。チームには選手個々人のリズムが反映され、プレイスタイルがお互いに絡み合ってチームを形成するわけです。
 あいつが中で勝負するから自分は外で待とうとか、あいつが運んでくれるからおれは走ろうとか。奇策というのは普段はやらないことをやるわけですから、当然選手間のコミュニケーションに害が生じます。もちろん、いつでもうまくいかないわけではないでしょうが、95%は失敗すると考えましょう。
 そもそも、自分たちが普段やっていないことをやること自体とても難しいのです。相手に合わせて柔軟にプレイスタイルを変えられるようなチームなら、まともにやってもそう簡単には負けないはずです。

⑥コロコロ選手の組合せを変えない
 速攻がよく出るチームには特徴があります。ディフェンスリバウンドが強いというのがその一つで、インサイドでしっかりとリバウンドを取れているから、ランナーがセカンドチャンスを恐れずにいいスタートを切れるのです。
 選手間には相互に信頼やイメージがあって、あいつならああするだろう、こいつならああするだろうというのが、日ごろの練習から無意識に刷り込まれます。そういったイメージがあるからこそ、ガードからのパスを信頼して思い切り走ったり、阿吽の呼吸を信じてスクリーンプレイを仕掛けられるのです。選手の組合せ変更というのは、そういった選手間のイメージを変更する作業ともいえます。
 もちろん、色々と考えすぎないために、コーチはある程度チーム(ひいては選手)のカラーを意識して練習をするわけです。誰が出ても同じようなスタイルでいるために。
 しかし、あまりにコロコロ選手を変えてしまうと、選手間のコミュニケーションを遮断したりすることは事実です。「さっきのセンターなら外で待つおれにパスをくれたのに、代わった奴はおれを見てない」と思ってシューターが動かなくなれば、いざインサイドがつぶされた時に次の手がありません。
 そういった選手間のコミュニケーションを考えると、組合せ変更はあまり頻繁にするものではないでしょうね。もちろん、ミニバスはいろいろな体験をさせることが大切なので、まったくしないわけにもいかないでしょうが、勝負どころではある程度のキーマンは固定化が必要です。

⑦タイムアウトは慎重に
 タイムアウトはコーチの考えを選手に伝える大事な機会です。それだけではなく、試合の流れを遮断し、相手チームのいいイメージを沈静化させ、自分のチームに冷静さとコミュニケーションの機会を与えます。選手たちが混乱すればするほど、タイムアウトをとりたい衝動に駆られるでしょう。
 しかしレベルの高い公式戦を見てみてください。クオーターの序盤でタイムアウトを取るようなコーチはなかなかいないはずです。
 それもそのはず、前半1回、後半1回しか取れないタイムアウトはとても貴重なものです。例えばクオーター開始2分にたて続けに4ゴール決められれば、タイムアウトをとりたくもなるでしょう。
 タイムアウトを取って、まずは落ち着けと対応策を示した上でコートに送り出したら、相手チームがディフェンスを変えてオールコートプレスに引っかかれば、チームを取り返すことのできないような窮地に陥りさせます。準備がない限り、選手たちは満足なコミュニケーションもとれないまま、ずたずたにされるでしょう。致命的なダメージは避けられたかもしれないのです。このように、タイムアウトは貴重なライフラインです。コーチは命綱として、タイムアウトのタイミングをよく勉強しなければなりません。

(ishii morio)
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by kamonomiyamini | 2012-07-16 01:15 | 指導者関係

指導者がいろいろなコメントや聞いたことを書き込んでいるページです。
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